所得税と住民税は「同じ所得にかかる税金」なのに、課税主体・税率・基礎控除・徴収のタイミングまで全部が別物です。私の場合、2025年6月に自治体から年税額118,800円の住民税通知書が届きました。所得税は別途、源泉徴収で年約16,000円。前年フリーランス2年目の所得290万円に対して、所得税が完結したあとに住民税が独立で請求される構造に最初は戸惑いました。本記事では所得税と住民税の違いを6つの軸で整理し、税率表・計算式・基礎控除・徴収方法まで一気にわかるよう解説します。
所得税と住民税の違いは6つ|まず結論
所得税と住民税はどちらも「個人の所得にかかる税金」ですが、課税主体・税率・計算式・徴収のタイミングまで全部が別物です。6つの違いを表で整理します。
| 項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 課税主体 | 国(国税) | 都道府県・市区町村(地方税) |
| 課税対象の所得 | その年(1〜12月)の所得 | 前年(1〜12月)の所得 |
| 税率 | 累進課税 5〜45%(7段階) | 所得割 一律10%+均等割5,000円 |
| 基礎控除(2025年改正後) | 58万〜95万円 | 43万円(据え置き) |
| 徴収方法 | 源泉徴収・確定申告 | 特別徴収(給与天引き)・普通徴収(納付書) |
| 納付タイミング | その年に納付完了 | 翌年6月〜翌々年5月の12回払い |
一番の混乱ポイントは「課税対象の所得が1年ズレる」ことです。今年支払う住民税は、去年の所得に対する税金です。会社員の人が新卒2年目の6月から急に給与の手取りが減るのも、3月末で会社を辞めたフリーランスのところに翌年6月に年14万円の納付書が届くのも、すべてこのタイムラグが原因です。私自身、2021年5月に会社員を辞めてフリーランスに転向した翌月、2020年の会社員フル12か月分の所得に対する住民税年14万2,300円の納付書が届いて青ざめた記憶があります。

では、それぞれの違いを順番に深掘りします。
税率の違い|累進5〜45%と一律10%を比較
所得税は「稼ぐほど税率が上がる」累進課税です。一方の住民税は「所得割は誰でも10%」の比例課税。同じ所得でも、所得税は階段状に税率が変わり、住民税はフラットです。
まず所得税の速算表を国税庁の公表値で確認します(出典: 国税庁「No.2260 所得税の税率」)。「課税される所得金額×税率−控除額」で所得税が出ます。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
住民税の所得割は、所得に関係なく一律10%です。標準税率は都道府県民税4%+市区町村民税6%の合計10%。政令指定都市だけは内訳が変わり、市民税8%+道府県民税2%で合計は変わりません(出典: 総務省「個人住民税」)。
所得割10%とは別に、所得の多少にかかわらず定額で課される「均等割」があります。標準は道府県民税1,000円+市町村民税3,000円=4,000円。これに森林環境税1,000円が加算され、現在の年合計は5,000円です。平成26〜令和5年度は復興特別税として各500円が加算されていましたが、令和5年度で終了し、森林環境税に切り替わりました(出典: 総務省)。
つまり「課税所得が約430万円までは住民税のほうが所得税より高い」逆転現象が広い帯域で起きます。例えば課税所得200万円なら、所得税は200万×10%−97,500円=102,500円。住民税の所得割は200万×10%=20万円。住民税のほうが約2倍高いです。私の2024年の課税所得は120万円台でしたが、所得税は約6万円、住民税は約12万円と倍以上の差になりました。給与年収でいうと約850万円付近が逆転ラインなので、年収帯の多くで住民税のほうが体感的に重く感じる構造になっています。
計算式の違いと年収別早見表(300万〜700万)
所得税と住民税は計算の出発点も終わり方も違います。図にすると以下の流れです。
- 収入−経費(給与所得者は給与所得控除)=所得
- 所得−所得控除(基礎・社会保険・配偶者など)=課税所得
- 課税所得×税率(5〜45%)−速算表の控除額=所得税額
- 所得税額−税額控除(住宅ローンなど)=最終的な所得税
- 前年の収入−経費=前年の所得
- 前年所得−所得控除(住民税は基礎控除43万円据え置き)=課税所得
- 課税所得×10%=所得割
- 所得割+均等割5,000円−税額控除=住民税年額
大きな違いは「住民税は前年の数字を使う」「住民税の所得控除は所得税より少し小さい(基礎控除で15万円差)」「住民税には均等割5,000円が常に加算される」の3点です。給与所得者の年収別の目安を、独身・控除が基礎+社会保険のみの想定でまとめます(給与所得控除と社会保険料率は2025年〜2026年現行値で試算。住宅ローン控除等は考慮せず)。
| 年収 | 所得税(年額) | 住民税(年額) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約55,000円 | 約117,000円 | 約172,000円 |
| 400万円 | 約86,000円 | 約175,000円 | 約261,000円 |
| 500万円 | 約137,000円 | 約242,000円 | 約379,000円 |
| 600万円 | 約204,000円 | 約306,000円 | 約510,000円 |
| 700万円 | 約321,000円 | 約373,000円 | 約694,000円 |
この早見表は給与所得控除と基礎控除、社会保険料の概算控除のみで試算した目安です。実際には扶養家族・生命保険料控除・iDeCo・ふるさと納税などの控除で数万〜十数万円下がります。住宅ローン控除を受けている人は所得税が0円近くまで圧縮されることもあります。
私の2025年は事業所得290万円、所得税が源泉徴収で約16,000円・住民税が118,800円という構成でした。給与所得者の年収300万円台と比べて所得税が異常に少ないのは、フリーランスで青色申告特別控除65万円が乗っているためです。一方、住民税は給与所得者とほぼ同じ水準。「フリーランスは所得税より住民税が体感的に重い」と言われるのはこの形になるからです。
基礎控除・徴収方法の違い|2025年改正の影響
2025年(令和7年)の税制改正で、所得税と住民税の基礎控除に差が広がりました。所得税の基礎控除は従来の48万円から58万円に引き上げられ、合計所得132万円以下なら最大95万円まで上乗せされます。一方、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです(出典: 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等」)。
- 合計所得132万円以下:所得税95万円/住民税43万円
- 合計所得132万円超〜336万円以下:所得税58万円+上乗せ/住民税43万円
- 合計所得336万円超〜2,350万円以下:所得税58万円/住民税43万円
- 合計所得2,350万円超:所得税・住民税ともに段階的に減額
この据え置きが意味するのは「所得税が0円でも住民税は発生する所得帯がある」ということです。例えば合計所得100万円の人は、所得税では基礎控除95万円+給与所得控除65万円で課税所得は事実上0円。一方、住民税では基礎控除43万円のままなので課税所得が残り、所得割が発生します。年収100万円の壁・103万円の壁の話と微妙にズレるのはこのためです。
徴収方法も対照的です。所得税は給与所得者なら毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算。フリーランスは予定納税と確定申告で支払います。住民税は会社員なら6月〜翌5月の12回に分けて給与から天引き(特別徴収)。フリーランスや退職者は自治体から納付書が届き、年4回または年1回でまとめて支払う普通徴収です。
私はフリーランス転向の2021年5月、年金事務所で国民年金免除を相談したものの「前年所得が会社員フル稼働の12か月分で超過」と即却下されました。同じロジックで、その年6月から年14万2,300円の住民税普通徴収が始まり、月の手取りが厳しくなった経験があります。会社を辞めるタイミングを「3〜5月」ではなく「12月末」にしておけば、住民税の特別徴収を最後の給与で一括徴収してもらえたはずです。退職タイミングは住民税の徴収方法に直結します。
住民税通知書が届いた私の体験|計算が合わない理由
2025年6月、自治体から「特別徴収税額の決定・変更通知書」と「納税通知書」が同時に届きました。フリーランスなので普通徴収のほうで、年税額118,800円・年4回分割(6月・8月・10月・1月)。1期あたり約3万円の納付書が同封されていました。
私が最初に戸惑ったのは「給与明細上の課税所得と通知書の課税所得が違う」点です。所得税の確定申告で出した課税所得と、住民税の通知書に載っている課税所得には15万円のズレがありました。原因は基礎控除の差で、所得税58万円−住民税43万円=15万円。同じ収入から出発しても、控除額が違うので最終課税所得が違うのは当然でした。
- 「課税標準額」が前年確定申告の数字+15万円程度になっているか
- 「税額計算」の所得割が課税標準額×10%になっているか(端数処理で多少ズレる)
- 「均等割額」が5,000円(県1,500円+市3,500円程度)になっているか
- ふるさと納税の寄付金控除が「税額控除」欄に反映されているか
2025年は楽天ふるさと納税で28,000円寄付したので、自己負担2,000円を引いた26,000円が住民税から差し引かれているはずでした。実際の通知書を見ると「税額控除額」欄に26,156円が計上されており、控除はきちんと反映されていました。住民税通知書は毎年6月にだけ届く重要書類なので、必ず開封してこの2点を確認することにしています。
所得税と住民税の関係をもう少し深掘りしたい人は、以下の記事もあわせてどうぞ。
住民税は社会人2年目6月開始|年収300万円で月約9,783円
所得税と住民税を下げる4つのアクション
所得税と住民税の両方を一気に減らせるアクションは限られています。私が実際にやってきたなかで効果が大きかった順に4つ紹介します。
1. ふるさと納税で住民税を実質ゼロ円自己負担に
所得割の20%を上限に、自己負担2,000円で返礼品をもらえます。私は2025年に28,000円を寄付し、自己負担2,000円で米15kg・冷凍ホタテ700g・タオルを受け取りました。返礼品の市場価値は3万円超なので実質的にプラス収支です。
2. iDeCoで掛金全額を所得控除
月の掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります。月2万円拠出すれば年24万円の所得控除。年収500万円の人なら所得税20%・住民税10%で年7.2万円の節税効果です。私は2022年に開始して月2.3万円を継続しています。
3. 医療費控除を10万円超で申告
家族の年間医療費が10万円を超えたら、超えた分を所得控除できます。所得税の還付+翌年の住民税減額で二重に効きます。控除額×(所得税率+住民税10%)が節税額の目安で、年20万円の医療費なら控除10万円分で所得税1万円還付+住民税1万円減のインパクトです。医療費の領収書は受け取った瞬間にクリアファイルに放り込む癖だけつけておけば、申告は楽勝です。
4. 生命保険料控除・地震保険料控除を漏れなく申告
年末調整や確定申告で必ず適用したい控除です。所得税最大12万円・住民税最大7万円の所得控除。控除証明書を10月〜11月にもらったらクリアファイルにまとめておく癖をつけると、申告漏れが激減します。
よくある質問
Q1. 所得税と住民税はどちらが高いですか?
A. 課税所得が約430万円までは住民税のほうが高く、約430万円を超えると所得税が住民税を上回ります。給与年収でいうと約850万円付近が逆転ラインです。住民税は所得割10%+均等割5,000円が常に発生する一方、所得税は累進制で課税所得が小さい人は5%しかかからず、速算表の控除額も差し引かれるためです。例えば課税所得200万円なら所得税は約10万円、住民税は約20万円となります。
Q2. なぜ住民税は1年遅れて請求されるのですか?
A. 住民税は「前年所得課税方式」のため、前年1〜12月の所得が確定してから翌年6月以降に課税通知が発行されます。所得税は当年の所得に毎月源泉徴収するのに対し、住民税は1年分の所得が確定してから自治体が算出する仕組みです。新卒2年目の6月から手取りが減るのも、退職翌年の6月に納付書が届くのもこの仕組みのためです。
Q3. 退職後に住民税はどうなりますか?
A. 1〜5月退職なら最後の給与で残額を一括徴収、6〜12月退職なら退職翌年5月までの残額を本人に納付書が届く普通徴収か一括徴収かを選べます。退職時期によっては手取りが大きく減るので、12月末退職が一括徴収しやすいタイミングです。
Q4. ふるさと納税は所得税と住民税のどちらから引かれますか?
A. 両方から引かれます。確定申告した場合は所得税の還付+住民税の翌年減額で二重に控除されます。ワンストップ特例を使った場合は、全額が翌年の住民税から控除される仕組みに一本化されます。最終的な控除総額は同じです。
Q5. 所得税が0円なら住民税も0円ですか?
A. いいえ。2025年改正で所得税の基礎控除が最大95万円まで拡大した一方、住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きです。そのため所得税が0円でも住民税の所得割が発生する所得帯があります。住民税の非課税ラインは自治体や扶養家族の有無で変わるので、自治体ホームページで確認してください。
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
- 総務省「地方税制度|個人住民税」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
- 東京都主税局「個人住民税」 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju