引っ越しにはお金がかかります。一人暮らしの場合、引越し費用と初期費用をあわせると40〜60万円が相場です。ただし、条件に合えば国や自治体から数万円〜最大60万円の補助金を受け取れる制度があります。
問題は「知らなければもらえない」ということ。自分から申請しない限り、誰も教えてくれません。
この記事では、一人暮らしの引っ越しで使える補助金・支援制度を一覧でまとめ、それぞれの条件と申請の流れを解説しています。
一人暮らしの引っ越しで使える補助金一覧

まず全体像を把握しましょう。一人暮らしで対象になりうる主な支援制度は以下のとおりです。
| 制度名 | 対象 | 金額の目安 | 管轄 |
|---|---|---|---|
| 住居確保給付金 | 離職・収入減で家賃が払えない | 家賃相当額(最大9か月) | 市区町村 |
| 移住支援金 | 東京圏から地方へ移住 | 単身最大60万円 | 都道府県・市町村 |
| 結婚新生活支援事業 | 新婚世帯の引越し・家賃 | 最大30〜60万円 | 市区町村 |
| 自治体独自の引越し助成金 | 自治体により異なる | 数万円〜20万円程度 | 市区町村 |
| ひとり親家庭住宅支援資金 | ひとり親家庭 | 月4万円×最長12か月 | 市区町村 |
「自分には関係ない」と思うかもしれませんが、転職や収入の変動があった人、地方への移住を検討している人は意外と対象になるケースがあります。順番に詳しく見ていきましょう。
住居確保給付金:収入が減った人の家賃を補助
住居確保給付金は、離職・廃業・収入減少によって家賃の支払いが困難になった人に、家賃相当額を原則3か月間(最大9か月間)支給する制度です。厚生労働省が管轄し、全国の市区町村で申請できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 離職・廃業から2年以内、または収入が離職と同程度まで減少した方 |
| 支給額 | 生活保護の住宅扶助額が上限。東京23区の単身なら月額53,700円が目安 |
| 支給期間 | 原則3か月。延長2回まで可能で最大9か月 |
| 収入要件 | 単身世帯の場合、月収13.8万円以下が目安(自治体により異なる) |
| 資産要件 | 預貯金が50.4万円以下(東京23区の場合) |
| 申請先 | お住まいの市区町村の自立相談支援窓口 |
フリーランスや個人事業主で収入が不安定な時期がある人は、知っておいて損はない制度です。「引越し費用」そのものへの補助ではありませんが、家賃の負担が減ることで、引越し後の生活を安定させやすくなります。
申請の流れ
- お住まいの市区町村の「自立相談支援窓口」に相談
- 支給要件の確認・書類の準備(離職票・収入証明・通帳のコピーなど)
- 申請書を提出
- 審査後、家賃が大家さんに直接振り込まれる(本人には振り込まれない)
移住支援金:東京圏から地方へ引っ越すなら最大60万円
地方創生の一環として、東京23区に在住(または通勤)していた人が地方へ移住する場合に、単身で最大60万円が支給される制度です。内閣府が推進し、各都道府県と市町村が共同で実施しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 東京23区に在住(または東京圏から23区へ通勤)していた方 |
| 居住要件 | 移住直前の10年間で通算5年以上+直近1年以上、23区に在住or通勤 |
| 支給額(単身) | 最大60万円 |
| 支給額(世帯) | 最大100万円+18歳未満の子ども1人あたり最大100万円 |
| 移住先の条件 | 東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)以外の道府県 |
| 就業等の条件 | 移住先で対象企業に就職、テレワーク、起業のいずれか |
金額が大きいぶん、条件もしっかりあります。特に「10年間で通算5年以上」の居住要件がポイント。大学進学で上京して就職した人なら、意外とクリアしているケースは多いです。
対象になる移住先の探し方
移住支援金の対象かどうかは、移住先の自治体によって異なります。内閣府の「地方創生」サイト(chisou.go.jp)で対象自治体を確認できます。すべての地方自治体が対象ではないので、移住先が決まったら事前に確認しておくと安心です。
結婚新生活支援事業:新婚なら引越し費用を補助
結婚に伴う引越し費用や家賃を、最大30〜60万円補助してくれる制度です。一人暮らしから二人暮らしへの引越しが対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 新たに婚姻届を提出した夫婦 |
| 年齢要件 | 夫婦ともに婚姻日時点で39歳以下 |
| 所得要件 | 夫婦の合計年間所得が500万円未満 |
| 補助額 | 夫婦ともに29歳以下: 最大60万円 / 30〜39歳: 最大30万円 |
| 対象経費 | 引越し業者への支払い・新居の家賃・敷金・礼金・仲介手数料 |
注意点は2つあります。
- 自治体によって実施していない地域がある。お住まいの自治体が事業に参加しているか事前に確認が必要です
- 自分で引越し作業をした場合の費用は対象外。引越し業者に依頼した費用のみが補助対象です
結婚を機に引越しを予定している人は、婚姻届を出す前に自治体の窓口で確認しておくのがおすすめです。
自治体独自の引越し助成金:住んでいる地域をチェック
上で紹介した制度以外にも、市区町村が独自に設けている引越し助成金があります。全国統一の制度ではないため、自分の住む自治体に問い合わせる必要があります。
よくあるパターンとしては以下のようなものがあります。
| パターン | 概要 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 子育て世帯向け | 子どもがいる世帯が区内に転入した場合 | 5〜20万円 |
| 若年層向け | 若者の定住促進を目的とした助成 | 5〜15万円 |
| 三世代同居・近居 | 親世帯の近くに引越した場合 | 10〜30万円 |
| 空き家バンク連携 | 空き家を活用して移住した場合 | 自治体により大きく異なる |
調べ方
- 「(自治体名) 引越し 補助金」で検索
- 市区町村の公式サイトで「助成金」「補助金」のページを確認
- 窓口に電話で問い合わせる(Webに載っていない制度もある)
特に人口減少に悩む地方自治体では、手厚い支援を用意しているケースがあります。引越し先が決まったら、必ず一度調べてみてください。
補助金を申請するときの注意点
どの制度にも共通する注意点をまとめました。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 引越し前に申請が必要な場合がある | 「引越し後に申請すればいい」と思っていると対象外になるケースも。必ず事前に確認 |
| 申請期限がある | 年度末(3月)が締切の制度が多い。早めに動くことが大切 |
| 予算がなくなると終了 | 先着順で予算に達した時点で受付終了する自治体も |
| 領収書が必要 | 引越し業者の領収書は必ず保管。後から再発行できない場合がある |
| 併用できない制度がある | 同じ費用に対して複数の補助金を重複申請できないケースがある |
一番もったいないのは「知らなかった」で終わること。引越しが決まったら、まず自治体の窓口に「使える補助金はありますか?」と聞くのが確実です。
引越しの初期費用そのものを抑えたい方は、一人暮らしの初期費用まるわかり|50万円の内訳と抑えるコツもあわせてどうぞ。
まとめ
一人暮らしの引っ越しで使える補助金・支援制度を振り返ります。
| 制度名 | 主な条件 | 金額 |
|---|---|---|
| 住居確保給付金 | 離職・収入減少 | 家賃相当額(最大9か月) |
| 移住支援金 | 東京圏→地方への移住 | 単身最大60万円 |
| 結婚新生活支援事業 | 39歳以下の新婚・所得500万未満 | 最大30〜60万円 |
| 自治体独自の助成金 | 自治体による | 数万〜20万円 |
| ひとり親家庭住宅支援 | ひとり親家庭 | 月4万×最長12か月 |
まずやってほしいのは、引越し先(または今住んでいる)自治体のサイトで「補助金」を検索すること。5分の検索で数万円〜数十万円が返ってくる可能性があります。
※ 記事内の金額・条件は2026年4月時点の情報です。制度は年度ごとに変更される場合があるため、必ず各自治体の最新情報を確認してください。
出典
- 厚生労働省「住居確保給付金」(生活支援特設ウェブサイト)
- 内閣府「地方創生 移住支援金」(chisou.go.jp)
- 内閣府「結婚新生活支援事業」
- 各自治体公式サイト(2026年4月時点の公開情報)