2020年3月、当時会社員だった私の所属部署が事業縮小で解散し、突然「会社都合退職」を経験しました。慌ててハローワークに駆け込んだ初日、職員さんに「あなたは特定受給資格者なので、給付制限なし・最大330日まで支給対象です」と言われて、頭が真っ白になったのを今でも覚えています。給付日数も金額も、いつ振り込まれるかも、当時は何も知りませんでした。
本記事では、2026年6月時点の最新データとハローワーク公式情報をもとに、会社都合の失業保険でいくらもらえるかを早見表で提示します。給付制限なしで支給開始までの流れ、月収別シミュレーション、申請に必要な書類まで、私が当時知りたかった順番で解説します。
会社都合と自己都合の違いは「給付制限なし」と「給付日数」
結論から書きます。失業保険の会社都合(特定受給資格者)と自己都合では、金額の単価は同じですが、「給付制限の有無」と「給付日数の長さ」が大きく違います。会社都合は給付制限がなく待期7日のみ、給付日数は最大330日と、自己都合の最大150日の倍以上に伸びます。
| 項目 | 会社都合(特定受給資格者) | 自己都合(一般) |
|---|---|---|
| 給付制限 | なし(待期7日のみ) | 原則1ヶ月(2025/4改正後) |
| 所定給付日数 | 90〜330日 | 90〜150日 |
| 必要な被保険者期間 | 離職前1年間に6ヶ月以上 | 離職前2年間に12ヶ月以上 |
| 初回振込までの目安 | 申請から約1ヶ月 | 申請から約2ヶ月 |
| 国民健康保険の軽減 | 軽減対象(最大2年) | 対象外 |
「特定受給資格者」に該当する代表例は、倒産・事業所の廃止・解雇・会社の移転で通勤が不可能になった場合などです。自分から退職を申し出ていても、ハラスメントや一定基準を超える残業による離職は「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として、会社都合と同等の扱いになります。離職票の離職理由コードで確定するため、納得できない場合はハローワークで異議申し立てができます。
私の2020年当時のケースは、部署解散による退職勧奨でした。離職票が届いた時、自分でも「これは自己都合扱いになるのでは」と不安になり、ハローワークの相談コーナーに離職票と退職時の社内通知文を持ち込みました。結果、特定受給資格者と認定されて給付制限なしに。離職理由は会社が決めるものではなく、ハローワークが最終判断すると、その時はじめて理解しました。
給付日数は最大330日|年齢×勤続の早見表
特定受給資格者の所定給付日数は、離職時の年齢と被保険者であった期間で決まります。最大は「45〜60歳・被保険者期間20年以上」のケースで330日。自己都合の最大150日と比べて約2.2倍の長さです。
| 離職時年齢 | 1年未満 | 1〜5年未満 | 5〜10年未満 | 10〜20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
注目したいのは、30歳未満では最大180日で頭打ちになる点と、45〜60歳が最も長く設定されている点です。再就職のハードルが高い年齢層ほど手厚いという制度設計です。同じ会社都合でも、年齢と勤続によって支給期間が2倍以上違うので、自分の数字を表で確認しておくと、退職後の家計設計の前提が一気に固まります。

私は離職当時28歳・勤続6年で、表上の所定給付日数は120日でした。120日は約4ヶ月分。「これで職探しは大丈夫」と思っていたら、実際は説明会・待期・初回認定で約1ヶ月かかり、手取りベースで使える期間は3ヶ月強でした。「給付日数=失業中の生活費が確保できる月数」ではないので、最低でも貯金は3ヶ月分は別に用意して臨むのが安全です。生活防衛資金の考え方は、貯金と投資のバランスは目的×期間で決まる|30代の最適配分早見表で詳しく書いています。
基本手当日額の計算式と上限額(2025年8月改定版)
「いくらもらえるか」は、基本手当日額×所定給付日数で求められます。基本手当日額は退職前6ヶ月の賃金から算出される「賃金日額」に45〜80%の給付率を掛けて決まります。賃金が低い人ほど給付率が高くなる仕組みで、低所得者を厚めに守る設計です。
計算式は次のとおりです。
- 賃金日額=退職前6ヶ月の賃金総額(賞与を除く)÷180
- 基本手当日額=賃金日額×給付率(45〜80%)
- 受給総額の目安=基本手当日額×所定給付日数
給付率は賃金日額が低いほど高く、賃金日額2,746円〜5,110円なら給付率80%、賃金日額12,580円〜なら一律50%といった段階制です。上限額は年齢ごとに上限が設定されており、いくら高給でも青天井ではありません。2025年8月1日改定後の上限額は次のとおりです。
| 離職時年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 | 月額換算(30日) |
|---|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,510円 | 7,255円 | 約217,650円 |
| 30〜44歳 | 16,170円 | 8,085円 | 約242,550円 |
| 45〜59歳 | 17,820円 | 8,910円 | 約267,300円 |
| 60〜64歳 | 15,990円 | 7,623円 | 約228,690円 |
つまり30代・40代前半なら、どんなに月収が高くても受給は1ヶ月あたり約24万円が上限。下限額は基本手当日額で2,295円(賃金日額2,869円相当)で、月額換算で約6.9万円が最低保証ラインです。「月収が高いから安心」とも限らず、生活費との差額が大きい人ほど別途の貯金が必要になります。
私の当時の離職前6ヶ月の平均月収は約28万円。賃金日額は28万円×6÷180=約9,333円で、給付率は約55%、基本手当日額は約5,150円でした。120日×5,150円で総額約61.8万円。当時は「思ったより少ない」と感じましたが、家賃8万円・生活費10万円の生活で何とか乗り切れた金額でした。
月収別シミュレーション|会社都合でいくらもらえる
具体的に「自分はいくらもらえるか」をつかむため、よくある月収パターンで会社都合の支給総額を試算します。給付率は厚生労働省の早見表に基づく目安値で、実際の数字は離職票確定時にハローワークで再計算されます。
パターン1:月収20万円・30歳・勤続5年(給付日数180日)
- 賃金日額:20万円×6÷180=約6,667円
- 給付率:約60%
- 基本手当日額:約4,000円
- 月額換算:約12.0万円
- 受給総額(180日):約72万円
パターン2:月収30万円・35歳・勤続10年(給付日数240日)
- 賃金日額:30万円×6÷180=10,000円
- 給付率:約50%
- 基本手当日額:約5,000円
- 月額換算:約15.0万円
- 受給総額(240日):約120万円
パターン3:月収40万円・45歳・勤続20年(給付日数330日)
- 賃金日額:40万円×6÷180=約13,333円
- 給付率:50%
- 基本手当日額:約6,667円(45〜59歳の上限8,910円には到達せず)
- 月額換算:約20.0万円
- 受給総額(330日):約220万円
実際の計算では「賃金日額×給付率」と「年齢別上限額」のいずれか低い方が日額になります。パターン3でも6,667円が上限額8,910円より低いため、上限には張り付きません。上限額に到達するのは、賃金日額が17,820円(年収換算で約650万円)を超えるような高所得層です。自分が上限に到達するかは、賃金日額×給付率を一度計算してから判断するのが正確です。
私の2020年当時、貯金が約60万円しかなく、受給総額62万円とほぼ同額。「これで5〜6ヶ月は持つ」と計算して、焦らず職を選べる期間が確保できました。会社都合の失業保険は転職を急がせない金額設計になっていると、当時改めて感じました。
申請から振込までの流れと必要書類
会社都合の場合、待期7日が終われば給付制限なしですぐ受給対象期間に入ります。ただし、初回振込までは認定日のサイクルがあるため、約1ヶ月かかります。流れは次の6ステップです。
- 離職票が会社から届く(退職後10日前後):届かない場合は会社に催促。最終的にはハローワークから会社に発行命令を出してもらえます
- ハローワークで求職申込み:離職票・本人確認書類(マイナンバーカード or 運転免許証)・写真2枚(縦3cm×横2.4cm)・本人名義の通帳を持参
- 待期7日間:手続日からカウント。会社都合・自己都合とも共通
- 雇用保険受給説明会:所要約2時間。最近はオンライン化が進み、自宅視聴のハローワークも増加
- 初回認定日:申請から約4週間後。失業認定申告書に求職活動実績(説明会1回でOK)を書いて提出
- 初回振込:認定日から5営業日以内。以後は4週間ごとに認定→振込のサイクル
必要書類のなかで意外と詰まりやすいのが「写真」。証明写真機で1セット約900円かかりますが、認定の写真票に貼るので必須です。また、本人名義の通帳は、口座振込指定なので忘れると後日提出になります。マイナンバーカードがあれば、本人確認書類はこれ1枚で済みます。
私が当時最も焦ったのは、離職票が会社から届くのが2週間以上遅れたことでした。総務に連絡しても「順次対応」と返事だけ。結局ハローワークに相談して、催促してもらってやっと届きました。離職票が来ない場合はハローワークが動いてくれると知っているだけで、退職後の不安が一段下がります。
受給中の注意点とアルバイトの扱い
会社都合だからといって何でもOKというわけではなく、受給中は以下の点に注意が必要です。違反すると不正受給扱いになり、返還+3倍額の納付命令が出ることもあります。
- 認定日は必ず来所:病気・面接などの正当な理由がない欠席は支給停止のリスク。やむを得ない場合は事前に電話連絡+証明書類が必要
- 求職活動実績は4週間で2回以上:応募・職業相談・セミナー受講などが対象。実績ゼロだと該当認定日の支給が見送り
- アルバイトは申告必須:1日4時間以上の労働は「就職」扱いで給付が一時停止、4時間未満は「内職」扱いで日額調整。隠すと不正受給
- 再就職手当の対象:所定給付日数の3分の1以上を残して再就職すると、残日数の60〜70%を一時金で受け取れる
- 受給期間は原則1年間:所定給付日数が330日の場合は1年30日、360日は1年60日まで延長
とくに見落としがちなのが「アルバイト」のルールです。「短時間なら大丈夫」と思っていても、申告漏れがあると後日マイナンバー連携で発覚し、不正受給認定で支給額の3倍を返還する事態になります。「やった分は全部申告する」が安全で、申告すれば日額調整される(後ろにずれる)だけで、損ではありません。
私が受給中に不安だったのは、Webライターの単発案件を受けた時の扱いでした。1案件3時間で5,000円の仕事だったので、ハローワークに電話で確認したところ「内職扱いで申告すれば問題なし、その日の基本手当から相当額を控除します」とのこと。事前確認とその場での申告が一番確実だと痛感しました。会社都合と自己都合の比較は失業保険は自己都合でも最短1ヶ月|2025年改正の給付制限と日数でも詳しく整理しています。
よくある質問
Q1:会社都合の失業保険は、退職してから何日で振り込まれますか?
手続きから初回振込までは約1ヶ月が目安です。内訳は「待期7日+雇用保険受給説明会+初回認定日(手続日から4週間後)+認定日から5営業日以内に振込」。自己都合の約2ヶ月(給付制限1ヶ月分が上乗せ)と比べて、初回受給までは半分の期間で済みます。
Q2:会社都合と自己都合で、もらえる総額はどれくらい違いますか?
同じ月収30万円・35歳・勤続10年で比較すると、会社都合は所定給付日数240日で総額約120万円、自己都合は120日で総額約60万円。約2倍の差です。さらに会社都合は給付制限なしのため、生活防衛の観点でも有利です。
Q3:退職勧奨は会社都合になりますか?
退職勧奨に応じての離職は、原則「特定受給資格者」として会社都合扱いになります。ただし離職票の離職理由コードを会社が「自己都合」で出してくることがあるので、その場合はハローワークで異議申し立てを。退職勧奨の通知書・メールの記録・経緯メモがあれば、ハローワークが調査して再判定してくれます。
Q4:失業保険を受給中に国民健康保険料は安くなりますか?
会社都合(特定受給資格者)と特定理由離職者は、国民健康保険料の軽減措置の対象です。前年所得を「30/100」とみなして計算し直すため、保険料が大幅に下がります。離職翌日から翌年度末まで(最大2年間)適用。市区町村の窓口で雇用保険受給資格者証を提示して申請します。
Q5:受給期間中にアルバイトをしてもいいですか?
1日4時間未満の労働は「内職」扱いでOK(その日の基本手当から控除)。1日4時間以上の労働は「就職」扱いで、その日の給付は支給されず、所定給付日数が後ろにずれます。いずれも認定日に申告必須。隠すと不正受給で3倍額の返還命令が出ることもあります。
まとめ|会社都合の失業保険は最大330日・上限月額約27万円
会社都合の失業保険は、自己都合と比べて「給付制限なし」「給付日数が最大330日(自己都合の最大2.2倍)」「国民健康保険料の軽減対象」と、3つの面で手厚く設計されています。離職理由はハローワークが最終判断するため、退職勧奨・ハラスメント・長時間労働などで離職した場合は、自分のケースが会社都合に該当するかを必ず相談窓口で確認しましょう。
本記事の要点は次の5つです。
- 給付制限:会社都合は7日のみ(自己都合は原則1ヶ月)
- 給付日数:最大330日(45〜60歳・勤続20年以上)
- 基本手当日額の上限:30〜44歳で8,085円、45〜59歳で8,910円
- 月額換算の上限:30〜44歳で約24万円、45〜59歳で約27万円
- 申請から初回振込:約1ヶ月(自己都合は約2ヶ月)
私自身は2020年の会社都合退職で4ヶ月分・約62万円を受け取り、その間に転職活動を進めて新しい職場へ移りました。「給付制限なし」が一番大きく、家賃と生活費の不安を最初の月から軽減してくれたのを覚えています。会社都合の失業保険は、転職を焦らせない期間を制度で守ってくれる仕組みです。
次にやることは1つだけ。離職票が届いたら、ハローワークの相談窓口に「自分は特定受給資格者に該当するか」をその場で確認することです。離職理由コードに違和感があれば、退職時の通知書やメール記録を持ち込んで異議申し立てを。最初の1週間の動き方で、その後の数ヶ月の生活が大きく変わります。
失業保険は自己都合でも最短1ヶ月|2025年改正の給付制限と日数
貯金と投資のバランスは目的×期間で決まる|30代の最適配分早見表
出典
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html - 厚生労働省「令和7年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00048.html - 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更(2025年8月1日改定)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/001520516.pdf - ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html