賃貸の鍵交換費用はなぜ高い?種類別の相場と安く抑えるコツ

賃貸の鍵交換費用の種類別相場を示すフラットイラスト

賃貸の入居時に請求される鍵交換費用は、鍵の種類によって1万〜4万円ほどの幅があります。見積もりを見て「高すぎない?」と感じた方もいるのではないでしょうか。

実は国土交通省のガイドラインでは、鍵交換の費用は「貸主が負担するのが妥当」とされています。それにもかかわらず、借主が負担するケースが大半なのが現実です。

この記事では、鍵の種類ごとの費用相場・国交省ガイドラインの中身・費用を抑える具体的な方法をまとめました。引越しの初期費用をできるだけ抑えたい方は、契約前にぜひチェックしてみてください。

鍵交換の費用はいくら?種類別の相場一覧

鍵交換費用は「鍵の種類」で大きく変わります。賃貸物件で使われている鍵は大きく4タイプに分かれ、防犯性が高い鍵ほど費用も上がる傾向です。

鍵の種類 特徴 交換費用の目安 防犯性
ディスクシリンダー 両側がギザギザの鍵。築年数の古い物件に多い 10,000〜15,000円 ★☆☆☆
ピンシリンダー 片側だけギザギザの鍵。一般的な賃貸で多い 10,000〜20,000円 ★★☆☆
ディンプルキー 表面に丸いくぼみがある鍵。ピッキングに強い 20,000〜40,000円 ★★★★
カードキー・電子錠 カードやスマホで解錠。新築マンションに多い 30,000〜60,000円 ★★★★

費用の内訳は「シリンダー本体の代金+作業費」です。作業費は1万円前後が一般的で、ここに鍵本体の価格が加わります。たとえばピンシリンダーの場合、本体が5,000〜10,000円・作業費が10,000円前後で、合計15,000〜20,000円になるイメージです。

賃貸の鍵の種類と費用を比較したインフォグラフィック
鍵の種類によって交換費用は大きく異なる
初期費用の見積もりでチェックするポイント
見積もりに「鍵交換代」が含まれていたら、まず鍵の種類を確認してみてください。ディスクシリンダーなのに3万円以上請求されている場合、相場より高い可能性があります。不動産会社に「鍵の種類は何ですか?」と聞くだけで、費用が妥当かどうか判断できます。

鍵の見分け方

自分の部屋の鍵がどのタイプかわからない方も多いと思います。見分けるポイントはシンプルです。

鍵の種類 見た目の特徴
ディスクシリンダー 鍵の両側にギザギザの刻みがある。鍵穴は縦向きの「くの字」型
ピンシリンダー 鍵の片側だけにギザギザの刻みがある。鍵穴は縦向き
ディンプルキー 鍵の表面に小さな丸いくぼみが複数ある。鍵穴は横向き
カードキー カード型またはリモコン型。物理的な鍵穴がない

なお、同じディンプルキーでもメーカーや型番で価格は異なります。美和ロック(MIWA)のPRシリンダーやGOAL社のV18シリンダーなど、メーカーごとに耐ピッキング性能10分以上の高防犯モデルが用意されており、こうした上位モデルは3万円を超えることもあります。

その費用、本当に借主が払うもの?

「鍵交換費用は入居者が払うのが当たり前」と思っている方は多いかもしれません。しかし、国土交通省のガイドラインでは貸主負担が妥当とされています。

国交省ガイドラインの内容

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、鍵の取替えについてこう書かれています。

ガイドラインの記載内容
「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる。」

つまり、鍵の紛失や破損がない通常の入退去では、鍵交換は物件管理の一環であり、貸主(大家さん)が費用を持つのが筋、というのがガイドラインの考え方です。

ガイドラインと現実のギャップ

ただし、このガイドラインには法的な強制力がありません。あくまで「こうするのが望ましい」という基準であり、最終的には契約書の内容で決まります。

項目 ガイドライン上の考え方 実際の運用
費用の負担者 貸主が負担するのが妥当 借主が負担するケースが大半
法的拘束力 なし(あくまで基準) 契約書の記載が優先される
交渉の余地 あり 物件の人気度・時期による

契約書に「鍵交換費用は借主負担」と記載されていれば、ガイドラインがあっても基本的にはその契約が有効です。ただし、この事実を知っているだけで交渉の出発点が変わります。「ガイドラインではこうなっていますが…」と一言添えるだけで、不動産会社の対応が変わることもあります。

退去時の鍵交換費用にも注意

入居時だけでなく、退去時にも鍵交換費用を請求されるケースがあります。いわゆる「二重取り」と呼ばれるもので、入居時に借主が支払い、退去時にも敷金から差し引かれるパターンです。契約書に退去時の鍵交換費用について記載がないか、入居前に必ず確認しておきましょう。

鍵交換費用を安く抑える方法

「仕組みはわかったけど、結局どうすれば安くなるの?」という方に向けて、現実的に使える方法を紹介します。

方法 節約効果 難易度
契約前にガイドラインを根拠に交渉 数千円〜全額免除 低い
鍵の種類を確認して妥当性を判断 相場との差額分 低い
大家の許可を得て自分で手配 作業費分(約1万円) やや高い
複数の初期費用をまとめて交渉 総額で数千〜数万円 低い

契約前に交渉する

最もシンプルなのは、契約前の段階で不動産会社に交渉する方法です。

交渉のポイントは、感情的にならず丁寧に聞くこと。繁忙期(1〜3月)は物件の動きが早いため交渉が通りにくく、閑散期(6〜8月)のほうが成功しやすい傾向にあります。

交渉時の伝え方の例
「国交省のガイドラインでは鍵交換は貸主負担が妥当とされているようですが、この物件ではどのようなご判断でしょうか? 他の初期費用も含めてご相談できればありがたいです。」

鍵の種類を確認して妥当性を判断する

見積もりで鍵交換費用が3万円を超えている場合は、鍵の種類を確認してみてください。ピンシリンダーやディスクシリンダーなら相場は1〜2万円ですので、「この鍵の種類で3万円は相場と比べて高く感じるのですが」と根拠を持って質問できます。

自分で交換するのは原則NG

勝手に鍵を交換してはいけない理由
賃貸物件のドアや錠前は物件の一部です。大家さんや管理会社に無断で交換すると契約違反になり、違約金や原状回復費用を請求される恐れがあります。火災や漏水など緊急時に管理側が入室できなくなるリスクもあるため、必ず事前に許可を取ってください。

ただし、大家さんの許可を得たうえで自分で手配すれば、シリンダー本体のみの費用(5,000〜15,000円程度)で済むケースもあります。退去時には元の鍵に戻す必要があるため、外した鍵は必ず保管しておきましょう。

複数の初期費用をまとめて交渉する

鍵交換費用だけを値引き交渉するよりも、初期費用全体をまとめて交渉するほうが通りやすいケースがあります。「鍵交換費用とクリーニング費用で合計○万円になるのですが、少しお値引きいただけませんか」と伝えれば、不動産会社も柔軟に対応しやすくなるでしょう。

仲介手数料・クリーニング費用・鍵交換費用の3つは、いずれも交渉の余地がある項目です。すべてを値切る必要はありませんが、総額を見たうえで気になる点を伝えることが大切です。

鍵交換をしないリスク

「費用を節約したいから鍵交換はしなくていい」と考える方もいるかもしれません。しかし、防犯面では明確なリスクがあります。

前の入居者が合鍵を持っている可能性

前の入居者が合鍵を作っていた場合、鍵交換をしなければその合鍵で部屋に入れる状態が続くことになります。警察庁の統計(令和6年)によると、合鍵を使った住居侵入は年間812件。決して他人事とは言えない数字です。

侵入手口 割合 鍵交換との関係
無締り(鍵の閉め忘れ) 47.8%
ガラス破り 30.1%
施錠開け(ピッキング等) 8.5% 古い鍵ほど狙われやすい
合鍵 鍵交換で防げる

施錠開けの手口は対策された鍵の普及で減少傾向にあるものの、裏を返せば古い鍵のまま放置している物件は格好のターゲットになりえるでしょう。特にディスクシリンダーはピッキング対策が十分でないため、ディンプルキーへの交換で防犯性を大きく向上できます。

鍵交換をしなくても良いケース

鍵交換が任意の物件も一部存在します。新築物件で前の入居者がいない場合や、オートロック付きマンションで個別の鍵交換が不要とされる物件なら、費用を断れることもあるでしょう。

ただし、中古物件で鍵交換を断る場合は防犯リスクとのトレードオフです。特に以下の条件に当てはまるなら、費用がかかっても交換をおすすめします。

鍵交換を強く推奨するケース
・1階の部屋や人通りの少ない立地
・築年数が古く、入退去の回数が多い物件
・ディスクシリンダー(ピッキング耐性が低い)の物件
・女性の一人暮らし

まとめ|鍵交換の費用で損しないためのチェックポイント

賃貸の鍵交換費用は「知っているかどうか」で数千円〜1万円以上の差が出ることも。契約前に確認すべきポイントを振り返りましょう。

チェック項目 ポイント
費用の相場を知る ピンシリンダー1〜2万円、ディンプルキー2〜4万円が目安
鍵の種類を確認 見積もりの金額と鍵の種類が見合っているか
ガイドラインを把握 国交省は「貸主負担が妥当」としている
交渉のタイミング 閑散期(6〜8月)が成功率高め
自分で交換はNG 無断交換は契約違反。大家の許可が必須
防犯面も考慮 合鍵リスクがあるため、交換自体は推奨

鍵交換の費用は初期費用全体の中では小さく見えるかもしれませんが、積み重なれば大きな差になるもの。次のアクションとして、手元の見積もりや契約書で鍵交換費用の金額と鍵の種類を確認してみてください。相場より高ければ、交渉してみる価値は十分にあります。

初期費用の全体像を把握したい方はこちらも参考にしてみてください。

賃貸の退去費用が不安なら確認|相場の目安と負担を減らす方法

賃貸の更新料は家賃の何ヶ月分が相場?安くする交渉術も解説

出典

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
  • 警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」(侵入窃盗の手口別認知件数)
  • SUUMO「賃貸物件の鍵交換費用は誰が負担する?」
  • 鍵猿「賃貸の鍵交換費用は誰が負担?相場・内訳・安くする方法まで解説!」
みく

この記事を書いた人

みく フリーランスWebライター

夫と二人暮らしのフリーランスWebライター(活動歴5年)。「電気代って高くない?」がきっかけで暮らしの固定費を調べるように。公式データと自分の家計でひとつずつ確認した結果だけを、忙しい人が最短で判断できるようまとめています。

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よくある質問

Q.賃貸の鍵交換費用の相場は?

A.ディスクシリンダー鍵で1〜2万円、ディンプルキーで1.5〜3万円、電子錠で4〜10万円が相場です。物件の鍵タイプで決まります。

Q.鍵交換費用は払わなくてもいい?

A.原則として法律上の義務はなく、特約がない限り拒否できる可能性があります。ただし契約書に「鍵交換費は借主負担」とある場合は支払いを求められます。

Q.鍵交換費用を安く抑える方法は?

A.①契約前に鍵交換費を確認・交渉、②自分で鍵屋に依頼(管理会社の許可が必要)、③貸主負担物件を選ぶ、の3パターンがあります。

Q.鍵紛失時の交換費用は誰が払う?

A.借主負担が原則です。1〜3万円が相場で、保険に「鍵交換特約」が付いていれば一部カバーされる場合があります。

この記事を書いた人

みく フリーランスWebライター

Webライター歴5年 / 夫と二人暮らし。暮らしの固定費と時短をテーマに、公式データを調べてわかりやすくまとめています。電気代・ガス代・食費・引越しなど、忙しい人が最短で判断できる記事を目指しています。

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