賃貸の更新料は家賃の何ヶ月分が相場?安くする交渉術も解説

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賃貸の更新料は、2年ごとに家賃1ヶ月分を請求されるのが一般的です。ただし、地域によっては更新料がゼロの物件も多く、交渉次第で減額できるケースもあります。

この記事では、更新料の相場・内訳から、地域ごとの違い、交渉で安くする具体的な方法まで整理しました。次の更新がいくらかかるのか不安な方は、まず全体像をつかんでおくと判断しやすくなります。

更新料の相場は家賃1ヶ月分が主流

国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によると、更新料を支払っている世帯は全体の約48.2%です。そのうち、金額が「家賃1ヶ月分」と回答した世帯は66.4%と最も多い結果でした。

更新料の金額帯 割合
家賃0.5ヶ月分以下 約10%
家賃1ヶ月分 約66%
家賃1.5ヶ月分以上 約24%

つまり、更新料が家賃1ヶ月分であれば相場通りです。1.5ヶ月分を超えていたら「やや高め」と判断してよいでしょう。

なお、更新料の支払い義務は法律で定められたものではなく、賃貸借契約書に記載があるかどうかで決まります。契約書に更新料の条項がなければ、支払う必要はありません。

更新時にかかる費用は更新料だけではない

「更新料=家賃1ヶ月分」で計算していると、実際の請求額に驚くかもしれません。更新のタイミングでは、更新料以外にもいくつかの費用が発生します。

費用項目 相場 備考
更新料 家賃1ヶ月分 大家さんへ支払い
更新事務手数料 0〜家賃0.5ヶ月分 管理会社へ。かからない場合もある
火災保険の更新 約1.5万〜2万円 2年契約が一般的
保証会社の更新料 約1万円/年 毎年 or 2年ごと

家賃8万円の物件で試算すると、更新料8万円+火災保険1.5万円+保証会社1万円=合計10.5万円が目安です。事務手数料が別途かかる場合は12万円を超えることもあります。

更新の2〜3ヶ月前に通知が届くのが一般的なので、届いたら内訳をしっかり確認してみてください。

賃貸の更新時にかかる費用の内訳(更新料・火災保険・保証会社で合計約10.5万円)

更新料には大きな地域差がある

更新料は全国一律ではなく、地域によって「あるのが普通」と「ないのが普通」に分かれます。国土交通省の調査データをもとに、主要地域の傾向を整理しました。

地域 更新料を徴収する割合 傾向
神奈川県 約90% ほぼ全物件で発生
千葉県 約83% 首都圏では標準的
東京都 約65% 物件により異なる
埼玉県 約62% 東京都と同水準
京都府 約55% 関西では例外的に多い
愛知県 約41% 半数以下
大阪府・兵庫県 ほぼ0% 更新料の文化がない

出典:国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」

首都圏に住んでいると「更新料は当たり前」と感じますが、大阪や兵庫ではそもそも更新料が存在しません。転勤や引越しで地域が変わるときは、更新料の有無を事前に確認しておくと想定外の出費を防げます。

更新料の交渉で安くするには

更新料は契約に基づく支払いですが、交渉の余地がないわけではありません。大家さんや管理会社にとって、退去されるよりも長く住んでもらうほうがメリットがあるためです。

アプローチ1:周辺相場を調べて根拠を示す

「なんとなく高い気がする」では交渉材料になりません。不動産ポータルサイトで同じエリア・同じ間取りの物件を検索して、更新料の有無や金額を比較してみてください。

周辺に更新料なし・0.5ヶ月分の物件が多ければ、「近隣の相場と比較して高い」という客観的な根拠になります。

アプローチ2:長期入居をアピールする

空室期間が発生すると、大家さんには原状回復費・募集広告費・家賃の空白期間という3つのコストが発生します。長く住んでくれる入居者は、大家さんにとって安定した収入源です。

「今後も長く住みたいので、更新料を少し下げていただけないか」という言い方は、双方にメリットのある交渉です。

アプローチ3:家賃の値下げとセットで相談する

更新料そのものの交渉が難しい場合は、更新を機に家賃の減額を相談するのも手です。月1,000〜2,000円の値下げでも、2年間で2.4万〜4.8万円の節約になります。

更新料の値下げより、家賃の減額のほうが大家さんに応じてもらいやすいケースもあります。

交渉アプローチ ポイント 成功しやすい状況
周辺相場を提示 データで根拠を示す 近隣に更新料なし物件が多い
長期入居アピール 双方のメリットを伝える 3年以上住んでいる
家賃値下げとセット 更新料が無理なら家賃で 築年数が経っている物件

交渉のタイミングは、更新通知が届いてから1ヶ月以内がベストです。更新期限ギリギリだと「払わないなら退去してほしい」という流れになりやすいので、余裕をもって相談しましょう。

更新料を払わないとどうなる?

「更新料は法律で決まっていないなら、払わなくてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。結論から言うと、契約書に記載がある場合は支払い義務があります

段階 起こること
更新期限を過ぎる 管理会社から電話・書面で督促が届く
督促を無視 内容証明郵便で正式な請求が届く
長期間の未払い 信頼関係の破壊として契約解除を通告される可能性がある

いきなり退去を求められることは少ないですが、放置すると関係が悪化します。

最高裁の判決で「有効」と認められている

2011年7月15日、最高裁判所は賃貸借契約における更新料条項について、以下の判断を示しました。

  • 更新料の条項が契約書に明確に記載されている場合、消費者契約法に違反しない
  • ただし、更新料の金額が「高額すぎる」場合は無効になる可能性がある

出典:最高裁判所第二小法廷 平成23年7月15日判決(全日本不動産協会)

家賃1〜2ヶ月分程度であれば「高額すぎる」には該当しないとされており、契約書に記載がある以上、支払いを拒否するのは現実的ではありません。

払えない場合は早めに相談する

支払いが難しい場合、放置するのは最も避けたい対応です。延滞が続くと、最悪の場合は契約解除・退去を求められる可能性があります。

払えない場合は以下の対応を検討してみてください。

  • 管理会社に分割払いを相談する:応じてもらえるケースは少なくない
  • 支払い期限の延長を依頼する:ボーナス時期まで待ってもらう等
  • 更新料の減額交渉をする:上記の交渉アプローチを試す

「法定更新」なら更新料がかからない場合もある

賃貸借契約の更新には、「合意更新」と「法定更新」の2種類があります。

種類 内容 更新料
合意更新 貸主・借主の双方が合意して更新 契約書の条項通り発生
法定更新 更新の合意がないまま期間満了 → 自動で同条件の更新 原則発生しない

法定更新は、借地借家法第26条に基づいて自動的に行われる更新です。大家さんが「更新しない(退去してほしい)」と主張するには「正当事由」が必要で、これが認められるハードルは非常に高くなっています。

ただし、法定更新を狙って意図的に更新手続きを無視するのはおすすめしません。大家さんとの関係が悪化するだけでなく、契約書に「法定更新の場合も更新料を支払う」旨の特約が入っている場合は、支払い義務が残る可能性があります。

更新と引越し、どちらが得か比べてみよう

更新料が高いと感じたとき、「いっそ引越したほうが安いのでは?」と考えるのは自然なことです。どちらが得かは、引越し先の条件と今の物件のトータルコストで比べる必要があります。

項目 更新する場合 引越す場合
更新料 家賃1ヶ月分(例:8万円) なし
火災保険・保証会社 約2.5万円 新規で約3〜5万円
引越し費用 なし 約3〜8万円(単身)
新居の初期費用 なし 家賃4〜5ヶ月分(例:32〜40万円)
合計目安 約10.5万円 約40〜55万円

単純な費用比較では、更新するほうが圧倒的に安く済みます。引越しが得になるのは、以下のようなケースに限られます。

  • 引越し先のほうが家賃が大幅に安い(月1万円以上の差)
  • 勤務先が変わって通勤費が大きく増えた
  • 今の物件に住み続けたくない理由がある(騒音・設備の劣化等)

初期費用の詳しい内訳はこちらの記事で解説しています。

一人暮らしの初期費用まるわかり|50万円の内訳と抑えるコツ

まとめ:更新料の相場と対策を整理

賃貸の更新料は「なんとなく払うもの」と思いがちですが、相場を知り、内訳を確認し、交渉の余地を探ることで、出費を抑えられる可能性があります。

項目 ポイント
更新料の相場 家賃1ヶ月分(全体の約66%)
更新時の総費用 家賃8万円なら合計10〜12万円が目安
地域差 首都圏は高確率で発生、関西はほぼゼロ
交渉のコツ 周辺相場の提示・長期入居アピール・家賃値下げとセット
法的根拠 契約書に記載があれば支払い義務あり(最高裁判決で有効)
引越しとの比較 更新のほうが安い。引越しは家賃差が大きい場合のみ有利

更新通知が届いたら、まず内訳を確認して、交渉できそうな部分がないか検討してみてください。家賃の値下げ交渉と組み合わせれば、2年間のトータルコストを数万円単位で下げられる可能性があります。

家賃の値上げを通知された場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

家賃の値上げは拒否できる|借主が知るべき条件と正しい断り方

退去時の敷金トラブルが不安な方はこちらもあわせてどうぞ。

敷金が返ってこないときの対処法|退去費用の相場と交渉のコツ

出典

  • 国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」
  • 国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査」
  • 最高裁判所第二小法廷 平成23年7月15日判決(全日本不動産協会)

この記事を書いた人

みく 暮らしの時短ブロガー

フリーランス / 夫と二人暮らし。固定費の見直しと時短にハマっています。調べて「これは使える」と思ったことを、なるべくわかりやすくまとめるようにしています。

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